曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

合掌は心のリセットボタン [No,1426 12月10日〜12月16日]

三重県亀山市 龍光院住職 稲本素童 老師

 私たちの毎日は、楽しいことだけでなく、つらいことや悲しいこと、苦しいことなど、嫌なことも次々に訪れます。そんな毎日を少しでも心安らかに生きるには、どうすればよいのでしょうか。
 私たち仏教徒は、お釈迦さまのみ教えを信じて生活しています。その一番初めにあるのが手を合わすという『合掌』です。
 お経の中に、『私たちの苦しみの元は、すべて自分の心の中の妄想という人間の思いより生じていて、若しその心を懺悔したいと思う時は、静かに坐って実相を思うことだ』、とあります。
 実相とは、真実の姿です。人間の好き嫌いという価値判断を取り除いたところにある、『ありのまま』の世界が実相です。
 このありのままの姿に目覚めてみれば、いつでも、どこでも、だれにでも、つまり時代や場所や人がちがっても、変わることのない大安心の命の姿がそこにあるのです。私たちはその中で自分を含め、全ての人やあらゆるものが百点満点で存在しています。そして、そこからは何一つ落ちこぼれることはありません。
 私たちは欲望をなくすことは出来ません。しかし、どうしようもない自分に気付いた時、心静かに手を合わせてみましょう。その瞬間に、心のリセットボタンが押されます。
いつも振り回されている心をひと休みするために、たとえ一日一度でも、真っ直ぐに心と体を整え、静かに坐って手を合せてください。
 ひとたび合掌という心のリセットボタンが押された時、そこには必ず『ありのまま』と云う大安心の世界が広がっているはずです。私にも、そしてあなたにも。

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