今日は涅槃図というお話をいたします。
毎年、2月15日は涅槃会といい、お釈迦様が入滅された日として、お寺によっては涅槃図という掛け軸を掛け、法要を営みます。私は、最近テレビで、21世紀仏教の旅という番組を観ました。それは仏教発祥の地インドで、齢80歳に達したお釈迦様が、説法をしながら最後の旅となったその足跡を辿る、という内容で、その途中、お釈迦様はお亡くなりになりました。つまり涅槃に入られたのです。生まれ故郷であるルンビニという所に向かうためであったとも伝えられます。この涅槃に入られたときのお姿を、絵に描いたものが涅槃図といいます。その絵には、沙羅双樹の林の中で、右脇を下にして静かに横たわるお釈迦様が、中央に大きく描かれています。そしてその周りを、嘆き悲しむ表情の仏弟子や菩薩たちが集まり、また、絵の下の方には、動物や、小さな虫たちが描かれていて、一緒に悲しんでいるかのようです。これはお釈迦様の、いのちに対する思いやりの深さを表わしているものでしょう。また、次のような話も、経典に残されています。お釈迦様がお亡くなりになる、その近くに、アーナンダというお弟子さまが、悲しみのあまり泣いておりました。そのことを、お聞きになったお釈迦様はこう諭しました。「アーナンダよ、嘆くな、悲しむな、わたしは予めこのように説いたではないか・・・すべての愛するもの、好むものからも別れ、離れ、異なるに至るということを。およそ生じ、存在し、つくられ、破壊さるべきものであるのに、それが破壊しないようにということが、どうしてありえようか」と。そしていよいよお弟子たちにこう発せられたのです。「さあ修行僧たちよ、お前たちに告げよう、もろもろの事象は過ぎ去るものである、怠ることなく修行を完成なさい」これが最後のお言葉でした。もしこの涅槃図をみる機会がございましたら、この事を踏まえながらご覧になってみてはいかがでしょうか。
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