曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

椅子坐禅 [No,1440、3月17日〜3月23日]

愛知県一宮市 成福寺住職 久馬慧忠 老師

 椅子坐禅と言う言葉をお聞きになった事があると思います。
 全国各地で教化センター主催の「禅をきく会」が開かれています。東海地方でも毎年名古屋市内の大ホールで実施されております。これはご承知のようにいろいろな講師の先生から禅に関する話を聞くと同時に、椅子坐禅を行なっています。といってもホールの座席ですから正式に足を組んで坐禅する事は出来ません。そこで椅子に浅く腰をかけ背筋を伸ばし、仏様と同じ姿で上半身だけ坐禅をするのです。これでも十分に坐禅を体験する事は可能です。私も各種の講演会や法話の時に始めに椅子坐禅若しくは正座坐禅を数分間試みています。さて、ここで一番大事な事は、坐禅中に頭を使わないこと、つまり何も考えない事です。道元禅師はこれを只管打坐と申されました。ところが人間は常に考えるという習性を持っています。考えないということが、簡単そうで実はこれほどむつかしい事はありません。体験してみると一番よく分かります。
 昔、沢木興道老師「タダ坐禅、タダ念仏―このタダということが凡夫にはツマラナク思える。凡夫はいつでもなんぞツリが欲しいんじゃ」と申されましたが、ツリを欲しがるのも人間の習性、ツリを求めないのが仏のモノサシの世界であり、道元禅師の坐禅に他ありません。でも実際に坐ってみると、次から次へとさまざまな思いが必ず頭を横切ります。気持ち良くなると大概居眠りをしてしまいます。この思いに気が付いた時、即座に切ってしまう事が肝要です。実は坐禅はこの連続が大切なのです。思った事をいつまでも追いかけているならば、それは単に考え事をしているに過ぎません。タダならばこそ、これほど高尚でこれほど幽邃な世界は他にはありません。一人でも出来ます。是非体験してみて下さい。

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