今日は愛語についてのお話をいたします。
私の寺の門前には国道があり、毎朝出勤する車が頻繁に行き交います。「お早う、気を付けて行くんだよ」この言葉は交通事故死ゼロの日、門前の横断歩道で、交通指導をしながら、登校する子供たらにかける朝の挨拶です。この大人達の声かけに対して子どもたちは「お早う御座います」と挨拶で返事を返します。
この挨拶運動は長年つづけていますが、集落の大人達は心の底から子どもたちの安全を願ってこの声かけ運動をおこなっているのであります。この活動も愛語の実践の一つです。
ところで、本年四月、曹洞宗管長であり、新しく大本山永平寺の禅師さまになられた福山諦法禅師さまより、皆さまが日頃実践をしていただきたい実践徳目をお示しになりました。それは「愛語」です。
「愛語は愛心よりおこる、愛心は慈心を種子とせり」これは道元禅師さまのお言葉です。
人を生かし、人を仏の道に導く行いの一つは愛語です。愛語は人を愛することにはじまります。人を愛するとは、無限の縁の中で支え、支えられているお互いを自覚し、慈しみあう同事の心、仏様の真心を根本とします。愛憎を超越した愛であります。
現代ほど言葉が乱れた時代があったでしょうか。
愛心のない粗雑な言葉は世の乱れを生み、社会を暗いものにいたします。
愛語は愛心のあらわれであり、自らの人格を宿し、自らの人格をつくるのです。一語一語を人切にしなければなりません。
現実に、家庭も社会も言葉で動いています。好ましい関係は好ましい言葉によって絆が結ばれます。赤子を前にして限りなく優しくなれるその心で、人々は互いに語り合いましょう。徳ある行いは素直に讃えましょう。お釈迦さまのみ教えを受け継ぎ、正しい信仰に生きる私たちの愛語の実践が、慈しみあふれる明るい社会をつくるのです。私たちは日日、愛語の実践を心がけましょう。
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