曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

広い心で [No,1461、8月11日〜8月17日]

静岡県浜松市 東光寺住職 水谷明嗣 老師

 日頃せかせかと落ち着かない生活に陥ると、仏様のゆったりとした広い心を少しでも分けていただけたらと思うことがあります。今月の北京オリンピックのことで、中国はまだ近代化の途上で民主化や公害の問題を抱えているし、各競技の運営にも慣れていないので、オリンピックの開催は早過ぎるのでは、という声もあるようです。
 でも、四十四年前の東京オリンピックの時、日本は海外旅行が年一回に限ってやっと認められるようになったし、新幹線を建設する費用が足りず世界銀行から借りて、やっと開会式の直前に開通させることが出来た状態でした。しかし、その時、日本に来て競技に参加した人たちが各国に帰り、日本に理解を示す人として各方面で活躍したのでした。また、日本国内でも、世界各国に対する関心が沸き上がりました。それらを思い起こして、中国の発展を願う広い気持ちを持ちたい所です。
 さて今回、参加している選手たちを見ますと、果たして勝つか負けるか分からないことに自分の全身全霊を懸け、人のしない努力をもしているのです。努力の汗は美しく輝くものです。同じように、私たちの日常生活の中にも、結果も出ず、無駄になるようなこともあります。朝、玄関を掃除しておいても、晩には足跡がついたり、砂ぼこりがたまっていたり・・・。お寺の修行も掃除も、同じことの繰り返しのように見られることもあります。競技や修行のような特別な生活ばかりでなく、無駄であり平凡である毎日を受け入れる、仏様のような広い心を持ちたいものです。
 道元禅師も、あたりまえのことの繰り返しが修行であり、そこに仏のさが・仏性が現れると説きます。心をもう少し広げて自分とは違うものも受け入れることで、あの秋葉原殺人事件の様なことがもう起こらないことを願うものです。

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