曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

一生懸命に生きる [No,1464、9月1日〜9月7日]

愛知県知多市 天徳院副住職 鬼頭賢光 師

 瀬戸内寂聴さんの本に「切に生きる」という言葉が書かれておりました。
 私は、「切に生きる」という言葉がとても好きです。
 「切に生きる」とは、道元禅師様の言葉です。寂聴さんはこの「切に生きる」という言葉を、一瞬一瞬を一生懸命に生きること、過去のことを悔やまない、未来のことを取り越し苦労しないと説明されています。これこそが、私たちの生き方なのではないでしょうか。
 テレビを見ていましても、毎日のように悲しい事件が報道されています。今、私たちはこういう世界で暮らしているのです。このような事件は、他人事ではなく明日は我が身かもしれません。事件だけでなく、もしかしたら、明日、事故にあうかもしれません。突然、病気で倒れてしまうかもしれません。天災が起こるかもしれません。今がどんなに幸せでも、明日のことは誰にもわからないのです。わからないのですから、そんな未来や過去のことでくよくよしても仕方がないとは思いませんか。
 赤ちゃんを見てください。ミルクを飲む時、本当に一生懸命に飲んでいます。遊ぶ時も、泣く時も、その時その時、すべてを全力で生きています。大人になれば、赤ちゃんのようには生きられないでしょう。悩みや悲しみも増えることでしょう。でも、一瞬一瞬を一生懸命に生きればいいのです。幸せな時は、一生懸命に幸せな時を楽しむ。悩みがある時は、一生懸命、悩む。そして向かい合う。悲しい時は、一生懸命、悲しむ、その代わり一生懸命、悲しみを乗り越える。大切な人が出来たら、一生懸命、愛する。守る。今、私のお粗末な話を聞いで下さっているなら、折角ですから一生懸命、聞いてください。ですから、私も未熟ながら一生懸命に話す。こういうことが、生きるということだと思います。
 皆さん、とにかく、今、この世に生きているのです。出来る限り、今を切に生きて下さい。

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