曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

縁起 [No,1471、10月20日〜10月26日]

三重県度会郡 大蓮寺住職 太田秀穂 老師

 ものは縁が縁ででき上がる「縁起」の話をします。縁起が良いとか悪いとか、縁起をかつぐ、縁起物などいろいろいいますが「広辞苑」という辞書で調べると、一切の物は原因の因と条件の縁によって成り立っている。仏教、お釈迦様の教えの基本「因縁」ともいうとあります。例えていえば、ここに一粒の種があります。作物の「因」です。袋の中にあればいつまでも種のままですが、畑に蒔くと様々な縁(条件)が加わって成長し、実ります。どんな縁があればよく実るでしょうか、それは皆さんよくお分かりの事と思います。物は縁が変わると変化し、流転し、消滅もします。が、それがまた他の物の縁になります。食物連鎖もそうですが同じ自然界の真理法則です。さて、私達人間も、親からもらった命が因ですが、それに様々な縁が加わらなければ大人にはなれませんね。親の愛情という縁、子育ての知恵と労力の縁、兄弟の縁、学校の友達や先生との縁、地域の人々との縁、人との縁だけでなく、汚れのない空気や水との縁、よき食べ物の縁も勿論大事です。
 昔の人は口ぐせのように「お陰様で」とよく言いました。自分以外の縁に生かされていることを知っていたのです。人の性格も縁起の法則からはずれません。親からもらった命その遺伝的受けつぎが「素質」です。それに先程申し上げた親・家族や周囲の人々や職業・社会環境・食べ物も含めて様々な縁が関係して自分の性格ができるのです。だから性格は変えることもできるのです。「良縁」という言葉があります。もっぱら夫婦になる縁として使われますが、それだけでなく今を生きる自分の回りのすべてと「悪縁」でなく「良縁」を結びましょう。自分もまた他の縁なのですから。

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