曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

椎茸の話 [No,1473、11月3日〜11月9日]

静岡県伊豆市 永徳寺住職 鈴木栄一 老師

 椎茸の話をします。椎茸を作ってみようと、一念発起しました。椎茸の産地にいても、どうやって作るのか知りませんでした。皆が作っているから、自分にも簡単にできるのではないかと思いました。知り合いに一つ一つ教わりながら、チャレンジです。
 季節は、秋です。裏山にナラやクヌギの雑木林があります。足場の悪い山の中、チェーンソーで、ナラやクヌギを切り倒します。木を倒す方向を考えながら、チェーンソーの刃を入れます。木を切り倒すとき、結構、迫力があります。余分な枝を、なたで切り落とします。その後、一定の長さに、木を切りそろえます。そのまま、山の斜面に切った木をおきます。
 翌年の春、まだ山に吹く風が冷たいころです。切った木を一箇所に集めます。生の木は、重い。大変重いんです。いよいよ、椎茸の菌を打ち込みます。一本の木に20から30以上ドリルで、穴をあけます。木の太さによってちがいます。その穴全部に、椎茸菌をかなづちで、打ち込みます。菌を打った木を、ここが良いという所へ積み重ねておきます。切った木の数が、たくさんあります。一本一本の木が重いので、かなりハードでした。
 翌年の秋、木を切ってから、2年経ちました。山で積み重ねてねかして置いた木を、その場で、おこします。斜めに木と木をあわせながら、並べます。雨の日が何日かあった後、木の皮の間から、白い小さな芽がふきます。いくつも出ています。2年かかって、待望の椎茸を手にしました。
 皆が作っているから、自分にも出来ると、簡単に思っていたことは、大変なことでした。スーパーやお店屋さんで見る、いろいろな野菜や果物、どれ一つとっても、大変な努力と多くの人の手数をかけた物でしょう。多くの人の苦労を思い感謝して食べ物をいただきましょう。

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