曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

こどもたちにつたえること [No,1478、12月8日〜12月14日]

岐阜県高山市 素玄寺住職 三塚泰俊 老師

 昨年の事ですが、近くの和尚様方と一緒に、小学生十四人を引率し、福井県の大本山永平寺へ行き、一泊二日の禅のつどい・研修会を行いました。
 永平寺の大きさや、張りつめた空気、きびきびと動く修行僧の姿に子供達は驚き、みんな緊張した様子でしたが、坐禅や食事作法など真剣に、また一生懸命に取り組んでいる姿はとても微笑ましく、素敵に思いました。
 子供達はそんな中、何を感じたのでしょうか。参加した子供の作文の一節を紹介します。
 「講師の和尚さんの話が一番よかったです。人には、良くない自分と優しい自分がいます。良くない自分がでてきたら「ごめんなさい」何かを手伝ってくれたり、教えてもらったら「ありがとう」ごはんの最初と最後に「いただきます」と「ごちそうさま」誰かが私を呼んだら「はい」という、五つの言葉を使うと素晴らしいと和尚さんは言っていました。私もこの五つの言葉を毎日使って、もっと友達と仲良くなりたいです。」子供達は、慣れない永平寺での体験を自分の為の大切な事として考え、素直に受け止めている事がわかり、私は大変感動致しました。
 さて道元禅師は、人と人との関係で大切な慈しみのある言葉を愛語と言われ、こうお諭しになられております。
「愛語というのは人々を見る時、真っ先に優しさの心を働かせて、顧みるような慈愛の言葉を差し上げる事であり、それは人々や世の中をも清めるカを持っている事を私たちは知らなければならない。」と
 「ごめんなさい」「ありがとう」「はい」等という言葉は、簡単なようで大人でも素直になかなか言えず、人と人とを結ぶとても大切な愛語である事を今、私たちは忘れてしまっているのではないでしょうか。
 私たち大人は、子供達が本来持っている優しさや素直さを育んでいけるように、大切な事をもっと丁寧にわかりやすく伝え、しいてはそれが、平和な世の中を作り上げてゆく事になるのだと、改めて感じた永平寺の研修会でした。

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