曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

前向きに [No,1487、2月2日〜2月8日]

愛知県豊橋市 全久院副住職 佐藤善章師

 せっかく手に入れた物等が傷ついていたり、破損していたりの不具合を経験されたことがある方は多いと思います。私も何度か覚えがあります。多くの方は良いことか悪いことかに分類すると悪いことと言われるでしょう。悪い所が見つかると腹立たしく苛立ち、悲観的になりがちです。それが高価な物であれば尚更です。そこで、視点を変え「悪い所が見つかって良かった」と考えることができれば前向きな気持ちになれます。悪い所が見つからなければ直すことすら出来ないのですから…直ればその先安心して使うことが出来ます。物を人間に置き換えても同じようなことが言えるのではないでしょうか。
 人はとかく「自分のことは自分が一番わかっている」と思いがちです。もちろん、得手不得手・好き嫌いなどは自分が一番よく知っているはずです。しかし、自分のことは目に見えません。周りの人が今の自分の状態を評価してくれるからこそ自分のことが把握できるのです。そこには人との関わりが欠かせません。良い事柄であればいろいろな人がその事についてお話くださるでしょう。逆に悪い事柄であればどうでしょう?そのような時に「忠告」「助言」をしてくださる方がいらっしゃればどんなに有り難い事でしょう。自分の悪い所を指摘されて面白いと思う人はいないでしょう。しかし「忠告」「助言」をしてくださる方は本当に自分の事を思って敢えて言いにくい事をお話くださるのです。その方のお話を聞き入れ「言っていただいて良かった」と思える自分を育て、人と人との関わりを更に深く良いものにできれば本当の自分の状態を認識することができます。自分の状態を認識できれば、人を思いやり、日々前向きに過ごすことが出来るでしょう。そこには「感謝」や「おかげさま」という心が自ずと生まれてくることでしょう。

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