先日、法事を翌日に控えたお檀家さんがお墓掃除に来てみえました。そのお檀家さんが掃除を終え、帰る時に私とたまたま庭で出会い、私にこう言いました。「今お墓のシキビを変えてきました。色花はすぐに駄目になって嫌なのでシキビだけにしてきました。」そのお檀家さんは大変満足そうに帰っていかれましたので、私は特に何もいいませんでした。
そもそも仏様にお花をお供えするのは何のためでしょうか、仏様にとってお花はなんなのでしょうか。
このような質問はしばしばされることがございます。私は決まって、仏様にとってお花はお着物です、洋服ですとお答します。
生きて在りますがごとく、お花をお着せするといいと思います。枯れてきたときには、皆さんの衣服が汚たら着替えるのと同じように変えてさしあげる。だからといっていつもいつも奇麗な色花をお供えする必要はございません。なぜなら皆さんはいつも豪華なお洋服を着ていますでしょうか。中にはいるかも知れませんが、ほとんどの方は普段は普段着で生活していると思います。仏様も普段は普段着でいいのです。仏様にとって普段着とは、地方によって多少違うかもしれませんが、シキビやビシャコです。それらをお供えしてさしあげるといいと思います。
ではどんな時に仏様に色花をお供えすればよいのでしょうか。皆さんは外出する時又は人前に出る時には奇麗な洋服を選ぶと思います。それと同じように、仏様も、春秋の両彼岸、お盆、お正月、そして法事の時など、たくさんの人に手を合わせてもらう時、たくさんの人に見てもらう時には色花をお供えし、仏様に奇麗な洋服を着せてさしあげて欲しいと思います。特に法事などの何年かに1回の行事の時は、皆さんにとっても、仏様にとっても大事な日でございます。皆さんも正装をし、仏様にも正装をしてさしあげその日をお迎えしていただきたいと思います。
さて、先ほどのお檀家さんの法事の後、このお話をさせていただきました。お檀家さんは始めは今日の事を残念がっておりましたが、帰る時には「お盆の時には今日の分も奇麗な色花をお供えするから」と言ってみえました。私はそれを聞いて大変うれしく思いました。
仏様は、生きて在りますがごとくおまつりしてくださいと言いますが、なかなか難しい事でございます。まずはお供えするお花を、仏様の洋服だと思いおまつりしてみてはどうでしょうか。
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