曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

お盆を迎える [No,1514、8月10日〜8月16日]

教化センター布教師 三重県伊勢市 自性軒住職 廣 晃義 老師

 お盆を迎える準備をしていますと、檀家様の幼い兄弟がお寺にやってきました。見ると弟は手に小さなかわいい箱を、大事そうに持っています。こんにちはと声をかけますと、下の子が何やらもじもじっと声にならない小さい声で箱を私の前に差し出しました。どうしたのかなと、尋ねますと、お兄ちゃんが、ハッキリ言えよと弟の背中を押しています。弟はハムスターが死んじゃったのと、悲しそうに消えいりそうな声でつぶやきました。
 私が可哀相にねーどうしたら善いのかなーと尋ねますと、するとお兄ちゃんが僕のハムスターと同じ所に埋めて供養してあげてと言うのです。弟が「うん同じ所に埋めて供養」と、くり返して言いました。そうなんです。お兄ちゃんも過去にハムスターを亡くして供養しているのです。そうだね、お兄ちゃんのハムスターの隣に埋めて供養してあげようねと言うと弟は嬉しそうに「うん」とうなずいていました。二人はお墓を造り、お線香をあげて、お経中は一生懸命手を合わせておりました。お参りが終わった後の二人の表情は満足そうに、にこやかでした。
 もうすぐお盆を迎えます。久しぶりに集まった家族や親戚の人たちは、御先祖様が生きているのと同じようにご馳走をお供えし、ともに過ごした日々を思い出しながら楽しく語らい、お話に花を咲かせます。
 お盆は今生きている私たちが亡き御先祖様に供養の真心をお供えする行事ですが、ご先祖に思いを馳せるとき、今生きている自分に気づき、生かされていることの大切さを深く思わずにはおられません。
 私は、亡き御先祖を迎える大切なお盆の行事も、この幼き兄弟のハムスターの命を大事にする思いやりの心も、二人が助け合って生きている兄弟の美しい姿も、皆もろともに正しい生き方に目覚める仏の道だとつくづく思うのです。

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