般若心経は、262文字である。大般若経から要文を抜粋して独立されたものであり、正式名称は「大般若波羅蜜多心経六百巻」である。御経は鎮護国家、除災招福等、全国各地の寺で行事の際、転読されている。その内容は「空」によって物の真実の在り方を示し、正しい般若の思想を「智恵」によって目覚めさせる事を説いたものである。この御経の中で代表的な文言は「色不異空、空不異色」「色即是空、空即是色」であり、その現代訳は、「色は空と異ならず、空は色と異ならない」「色は即ち是れ空であり、空は即ち是れ色である」と観る。この場合の「色」とは、人間の身体を含めて一切の物体や存在を表現している。また「空」とは、実体はないが、感情や意識などをさしている。
「色不異空、空不異色」とは存在するものは一瞬でもそのままでいる事はない。常に変化と発展の過程であり、あらゆるものは、移り去り流れるという、変化不断のものであり、諸行であり無常である。としております。
「色即是空、空即是色」とは、時間的の長短を考えると、しばらくはそこに存在するのであるから、物事は片方から見るのではなく、時間的空間的に見て、両方から見るべきであります。
このように「空」の世界とは、物の真実の在り方を示して、智恵に目覚める姿を、般若の姿と申しているのであります。迷いの世界から、悟りの世界へ脱出すれば、そこは「空」の世界であり、自由の世界であります。その世界は、般若心経の最後の文言である「羯諦、羯諦、波羅羯諦、波羅僧羯諦、菩提娑婆訶、般若心経」であり、生ける者、彼岸に生ける者の、悟りと幸せを、願うものであります。
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