28歳の女性が書いた新聞の投書をご紹介します。
私は4人姉妹の長女として育ちました。
小学校3年の時、友達が「大きなお雛様の人形を買ってもらった」と学校で自慢していました。
そして、いつものように、その矛先は私のところにきました。
「あなたの家は女の子が姉妹で4人もいるんだから、さぞかし立派なおひな様が、家には置いてあるんでしょう?」と聴いてきました。
私の家は、学校でも有名な貧乏な家だったから、人形を買えないことをわかっていて、わざと聞いてきたのです。
無いということが素直に言えないで答に詰まってしまった。情けない思いをしながら家に帰りました。
私は、お母さんにそのことを正直にうち明けました。
すると、お母さんは夜、お風呂上がりの湯気の立つ娘を1人ずつ、4人並べて座らせました。
お母さんは、離れてながめたり、近くに寄って髪のカタチや寝巻きを整えてくれたりしました。
「どの子が、一番可愛いかな一?」
と言うので、私たちは、みんな精一杯のすまし顔で、お母さんを見つめました。
お母さんは腕組みをして、うなずいていたけど、
「みんなかわいいね、うちのお雛様は、どこの家の人形よりも、一番可愛いよ」と言ってくれました。
私達、姉妹はそれだけで満足でした。
そして、折り紙で着物をつくり、顔を書いて、大きなダンボール箱に貼り付けました。
これが我が家のひな人形となって何年もの間、桃の節句を祝ってくれました。
高価な人形よりも、この不揃いなお雛様の方が私達姉妹には良かった。
お母さんは、私達にお金で買えないものをふんだんに与えてくれました。
子供の心を、いつも明るく受け止めてくれたお母さん。
感謝の思いを込めて、今、ここに書きます。
ここには、母親の賢さ、貴賎を超えた不動の愛と、それを受け止める子供の素直な命がありました。
このお母さんの様な暖かい愛情を私たちも誰かに与えて行きたいですね!
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