奈良の興福寺創建千三百年記念の事業として開催されました、国宝【阿修羅】展が、九月二十七日福岡の九州国立博物館において閉幕しました。
この阿修羅像に多くの人々が手を合わせ、祈りをささげる姿がマスメディアに頻繁に取り上げられました。
修羅場という言葉が示すとおりに、言い伝えの中には映画寅さんでお馴染みの【帝釈天】と戦いを繰り返すという一面も併せ持つ仏様であります。
私たちが二十一世紀のこの時代この時間に、【阿修羅像】に手を合わせ、世界よ安寧たれ、わが暮らし穏やかなれと、祈りの時間を持つことが出来るのは、千数百年という時の流れの中で多くの方々の心からの祈りの継続があったからと信じます。
私たちの生活の周囲には、お釈迦様、観音様、お地蔵様をはじめとして、諸仏、諸菩薩、そして八百万の神々が争うことなく信仰を集めています。これは自分と異なる信仰の対象に対してもそれを認め合う、穏やかで、伸びやかな日本人の宗教観によるものと思います。
これからも流れ続ける悠久の時間も、敬虔な祈りの時間が継続されることを切に願いたいと思います。
その最初として、ご自宅のお仏壇に向かい、心静かに手を合わせてみませんか。
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