曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

地蔵菩薩御詠歌  [No,1533、12月21日〜12月27日]

愛知県宝飯郡小坂井町 龍徳院住職 白井秋光 老師

あなたは辛い時悲しい時、何かあった時、誰かの名前を呼ぶことがありますか?
 「たらちねのみ親のもとにいる児らは御名を唱うる声ばかりなり」
 これは梅花流詠讃歌の中の、地蔵菩薩御詠歌「慈念」という曲の歌詞です。
 「み親」とは、あらゆる人々の悩みや苦しみをそのまま受け入れて、安らかな心を与え、人々を救いつづける慈悲の菩薩である地蔵菩薩であり、「児ら」とは私たちのことです。
 つまり、悩みや苦しみの中で、安らぎを求めてひたすらお地蔵さんの御名をとなえている声が聞こえます。御名前をとなえることで、その信仰のまごころに感謝して、地蔵菩薩があたたかく寄り添ってくださいます。というのがこの曲の大意です。
 お地蔵さんといえば、六体のお地蔵さん、六地蔵がよく知られています。仏教では、私達が日頃様々に迷うところの世界を六つに分け「六道」と見なし、これらそれぞれに一体のお地蔵さんがかかわり、六地蔵尊となります。
 この六道を行ったり来たりしているのが私達の現実の姿なのです。繰り返し、繰り返し六道に迷うので「六道輪廻」ともいいます。
 その日々の中で悩み苦しむがゆえにこそ、自分のいたらなさや未熟さを見つめることができるのです。そんな時にあたたかく見守ってくれているのがお地蔵さんです。
 この曲の中で唱えられている御名は、お地蔵さんですが、私たちの日常のなかでは、お釈迦様でもあり、お父さんやお母さん、兄弟、友達、恋人など私達にとって大切な人のことでもあると思います。
 私達は何か悩みがある時、辛い時、悲しい時に、そんな人達の事を思えば心のよりどころとなり、その人達の名を呼べば、しずかに見守ってくれたり、あたたかな声をかけてくれたりするでしょう。それによって心が救われるのです。
 ですから、あなたにとって大切な存在、大切な人の事を大事に思う気持ちが、あなた自身を導いてくれることでしょう。

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