「愛語よく廻天の力あることを学すべし」
これは道元禅師の「正法眼蔵」にある言葉です。言うまでもありませんが、「愛語」とは愛し合う男女が交わす言葉ということではなく、生きとし生けるものに対する大きな愛や深い慈しみに根ざす言葉のことをいいます。そうした言葉には「廻天」つまり、天下を覆すほどの力があるという事を言っているのです。
道元禅師は、さらにおっしゃいます。「向かいて愛語を聞くは面を喜ばしめ、心を楽しくす。向かわずして愛語を聞くは、肝に銘じ魂に命ず。」
愛語とは、やさしい言葉、ほめ言葉と言い換えてもよいのではないでしょうか。人に対する言葉は、たとえ叱る場合でも「まずほめる」から入れば、相手の心に届き易いでしょう。面と向かってほめれば相手は表情をくずして喜ぶでしょう。いない時にほめれば、後で耳にした時、心に、魂に、深く刻みこまれることでしょう。
ところが実際は、ついつい相手に対するクレームや悪口を口にしてしまいがちなものです。本当に相手を動かしたいと願うのなら、愛語を使うように心がけましょう。
愛語は口ではなく、心から発せられるのです。
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