曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

想いを言葉に [No,1541、2月8日〜2月14日]

静岡県富士市 宗清寺副住職 大嶽素宏 師

大変寒い時期ですが、皆さまカゼなどひかず、お元気にお過ごしですか?
 昨年、辻井伸行という盲目のピアニストが世界コンクールで金賞を受賞したというニュースが流れました。目が見えないというのは、当然楽譜が見えないのですから、その努力は大変なモノがあったと思います。毎日人より多くの時間、練習し、目が見えない分、その他の耳などの機関が精一杯、活動し感性や技術を磨いたのでしょう。
 金賞受賞のおめでたいインタビューの時、ある女性のアナウンサーが尋ねました。辻井さんのことを考えると、そんなことを聞かなくてもいいのにと、あまりいい質問ではありませんでしたが・・・
 テレビのインタビューで彼女は「もし辻井さんの目が見えたら一番に見たいのは何ですか?」と聞きます。
 彼はこう答えます。「そうですね。やはりお父さん、お母さんの顔が見たいですね。他には星かな・・・」そして言葉を続けました。
 「でも見えなくてもいいんです。もうボクにはお父さん、お母さんの顔が見えていますから」 
 こう答えたのです。
 辻井さんは心の目で、愛するご両親の顔がしっかりと見えているのでしょう。
 今、私の話をお聞きになっている方の中には、最近ご不幸があった方も、おいでと思います。亡きお父さま、お母さま、あるいはご主人、奥様はどんな方でしたか? やさしい方でしたか? 厳しさもあった方でしょうか?
 自分を育ててくれた、あるいは支えてくれた方への感謝の気持ちを相手に伝え合うことは大切なことです。言葉にすること、手紙やメールのように文字にするなど形にして伝えるのです。
 
 「おはよー!」と気持ち良く声を掛けられたり、「仕事、頑張っているね!」と声を掛けられれば、うれしいものです。その日一日爽やかな気持ちで過ごせるモノですよね。
 近所の方やご家族に、挨拶や声を掛けるのはもちろんのこと、自分自身にも声を掛けるのがミソかもしれません。皆さんの中で、ひざが痛かったりする方はいませんか? 朝、「今日一日よろしくネ。」と言いながら痛いところをさすってあげると、ひざもとっても喜ぶと思います。
 
 自分の気持ち・祈り・感謝、その心を込め形にした、表した、言葉や文字は大切なことです。どうぞご家庭やご近所で、そして自分自身にも暖かい真心がこもった挨拶や言葉を大切にしていきましょう。
 ご静聴いただき、ありがとうございました。カゼなどひかないよう、お体を大切にお過ごし下さい。

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