曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

無縁ではない命 [No,1550、4月12日〜4月18日]

静岡県島田市 養勝寺住職 小松周翁 老師

自殺者が年間三万人とも三万二千人とも言われておりますが、最近テレビを通じて『無縁死』三万人との放送を見て『無縁死』という言葉を改めて考えさせられました。
 『無縁死』社会の定年と共に社会との縁が無くなる、いろいろな事情で生涯独身で一人寂しく亡くなられる。生前にNPO法人と契約して、火葬の後、供養塔に納骨して頂く様準備されておられる方は数少なく、多くの方が一人寂しく亡くなられ、親族が無い・親戚は有るが引き取ることが出来ない。行き場を失った「遺骨」を後の遺物の整理を依頼された業者の方がアナウンサーの「このお骨はどういう取り扱いなのか」との質問に『ゴミ』ですと答えられたのを聞いて愕然と致しました。その「遺骨」は東京から遠く離れた富山県の心有る寺院に送られ読経、埋葬されるとのこと、少しは救われた気持ちになりました。
 昨年末、私達が学生時代大変お世話になった先生が亡くなられました。多くの卒業生に送られ葬儀も終わり、四十九日の日に一通の封書が先生の名前で送られて来ました。驚きましたが、中には一枚の書と亡くなられる前にご自分で準備されていた縁を頂いた方々への礼状を先輩方がコピーをされ各位へ送られたとの事
『一人で生きて来た自分が今自分の後始末をする時が来たようです、皆様とのご縁を頂いたことに心よりお礼申し上げます』
書には『家』と書かれていました。
 家族やお檀家の方々、人とのつながりを大事にせよと私は受け取らせて頂きました。
 最後に縁有って生まれさせて頂き、多くの縁の中で働き、縁有る土地で眠ることが出来得るように自分も含めて、自治体、各お寺様にも考えて頂かなければならない問題ではないでしょうか。

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