曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

真似る [No,1556、5月24日〜5月30日]

愛知県知多郡 傳宗院副住職 石神 裕己 師

学ぶという言葉には真似るという意味があります。何もない所から新しい物を生み出すことは非常に難しいことです。だから何かを身につける時、まず真似をしてみることがいいと思います。上達の一番の方法は真似をすることです。
 子どもは親の真似をして育ちます。親の真似をして言葉を覚え、親の真似をして物事を理解します。親の真似をして身につけたことは、子どもにとって一生役に立つ宝になります。
 我々にとっての仏の教えと同じです。我々は長い間受け継がれてきた仏陀や道元禅師、その他多くの方々の教え、思想を真似します。物事というのは無理をしてもなかなか身につかないものです。毎日毎日真似をすることによって自然に身についていくものです。
 曹洞宗大本山永平寺七十八世宮崎奕保禅師はこうおっしゃられています。
 「みんな真似をしているんだよ。学ぶはまねぶ、真似るというところから来ているんでね。真似が一日続いたら一日の真似、二日やったら二日の真似。それが一生続いたらもう本物になる。」と。
 ゼロから新しいものを生み出す事は非常に難しい事ですが、まず真似をすることがオリジナルを生み出す近道です。
 「守、破、離」という武道の教えがあります。守とは師に教えられた事を忠実に守って励み、それをしっかり身につけることです。次に破とは、今まで学んで身につけてきたことを破りつつ、そこに自分なりの色をつけていくこと。そして離とは、破からさらに修行し、守にとらわれず、破も意識せず、自分なりの独自のものを生み出すことです。この守、破、離の教えは武道だけでなく、人間の生き方全てにとって大事な教えです。
 もしあなたに尊敬できる人や、ああなりたいと思う人がいたら、まずその真似をしてみるといいかもしれません。そうすることによって自分の理想に近づく助けになります。ぜひやってみて下さい。

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