曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

感じ方一つで [No,1560、6月21日〜6月27日]

三重県鳥羽市 清岩庵住職 二村宏二 老師

「愛語能く廻天の力あることを学すべきなり。」
修証義というお経の一節に出てくる教えであり、「愛語」とは、やさしい言葉や誉め言葉と捉えてもよいでしょう。
 先日、友人と出かけた時の帰り道の会話の中で、その友人が疲れたのか「フゥー」と溜息をついていました。その時、「溜息をつくと幸せが逃げてしまうよ。」と言うと、友人に「いやいや、これは幸せが溢れたので、おすそ分けだよ。」と言われました。
 溜息をつくという行為は、あまり良いイメージではありませんが、個人の感じ方や、相手側に気を遣わせない言葉も、愛語の一つと言えるのではないでしょうか。
 「廻天」―天下を覆すほどの力がある、という意味ですが、佛教の経典などは難しいイメージばかりあります。
 しかし、我々僧侶がそれらの教えを、わかりやすい言葉、身近な例をたとえてお話しすれば、何気ない日常生活での会話のやり取りの中にも、少しは佛教の教えを身近に感じてもらえるのではないでしょうか。
 マナー一つとっても、当たり前の事を当たり前のようにこなす、人の嫌がることはしてはいけない等々。
 「愛語」―伝える相手、聞いてもらえる相手がいるからこそ意味があります。
 そして、多くの人々に「愛語」が行き渡れば、また優しい言葉が廻り廻って、自分の元へ戻ってくるのではないでしょうか。

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