曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)
たのしみ法話
たのしみ法話

凪の時間 [No,1561、6月28日〜7月4日]

静岡県牧之原市 長興寺住職 森田勝准 老師

以前、イタリアの修道院に数日間滞在する機会がありました。
そこで知り合った修道士の方々には、穏やかで落ち着いた雰囲気がありました。そして、一緒にいるだけで、こちらまで落ち着いた気分になることができました。
 修道士は団体で生活し、一生をその修道院で過ごしますが、それぞれに自分の部屋があります。そして、一人になって、お祈りや瞑想をする時間を必ず持っています。
 修道士たちがいつも穏やかで、落ち着いている理由は、そこにあるのではないか、と私は思いました。
 私たちのふだんの生活を振り返ってみると、仕事や心配事に追われ、心が落ち着くことはあまりないように思います。
 仕事がない時でも、いつも何か考え、何かをしなくては、というあせりにも似た気持ちでいることも多いようです。
 「凪」という言葉があります。風がやみ、波が穏やかになることです。私たちの心にも、「凪の時間」が必要です。一日のうち、ほんの少しの時間でも、一人になって、すべての仕事や心配事から解放される時間を作ってみましょう。
 目を閉じ、楽に呼吸します。そして、大きかった波が穏やかになっていく様子をイメージしてみてください。特別に部屋を用意する必要はありません。朝起きた布団の中でも、トイレの中でも、どんなところでもかまいません。
 凪の時間は、穏やかで落ち着いた気持ちを、あなたに与えてくれるでしょう。

| top | 前のお言葉 | 706 | 707 | 708 | 709 | 710 | 711 | 712 | 713 | 714 | 715 | 716 | 717 | 718 | 719 | 720 | 次のお言葉 |