曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

命の絆 [No,1564、7月19日〜7月25日]

静岡県田方郡 法輪寺副住職 川合勝成 師

昨年の事ですが、一本の電話が入りました。内容は、「お墓の掃除を、お寺で、どなたかにお願いして欲しい、お盆に、お墓参りに行きたいので」というのです。
 理由をおうかがいしてみますと、ご両親は、お体がご不自由で、ご自分は、仕事が忙しくて、時間がとれないというのです。
 私は、お墓参りをするということは、ご先祖様をはじめとするお墓に埋葬されている方々をご供養し、感謝する時間を過ごすことですので、どうぞ、草の一本でもいいので、ご自分で抜く時間を作って下さいませんかとお願い致しましたが、結局だめでした。
 あなたは、このことをどのように受け止めますか。
 私は、お墓参りの代行や、掃除の請負業者があるという事をテレビで知っておりましたが、実際に、その場面に遭遇して、本当に驚きました。
 皆さまは、お墓参りをどのようになさっていますか。
 ひと昔前まで、お墓には、三世代に渡るご家族やご夫婦の姿がありました。
 掃除をして、お花を供え、お線香をたいて、手を合わせて、家族の安泰などを願う姿が、当たり前のことのようにみかけられたものです。
 お墓の前で手をあわせることで、気持ちが落付き、心が穏やかになるのだと思います。
 このことにより、家族の絆が強くなっていくのでしょうし、ご先祖様に対する感謝の気持ち、すなわち私たちが、今ここに在るということは、何世代にも渡るかけがいのない命の継続があったからだという事実に、知らず知らずの間に気が付いていくのだと思います。
 このことが、やがて次の世代にも自然と受け継がれていく事で、我々一人一人がいただいたこの命、誰にも置き換えることの出来ないこの命の尊さに気が付くのだと思うのです。

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