曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

おかげさまで [No,1566、8月2日〜8月8日]

岐阜県揖斐郡揖斐川町 月桂院住職 杉山宗峰 老師

今年も8月に入りました。残暑お見舞い申し上げます。8月は旧盆の行事が行われ、遠くにいる兄弟や親族が墓参りにの為、ふるさとへ帰省します。
 家に帰り着くと、爺さんや婆さんに、「元気だったかね。」と声をかけ体調を気遣います。祖父母からは「お陰様で、今年も元気にお盆を迎え、墓参りができ嬉しいよ。」と、子ども達が健康を心配をしてくれることに感謝し嬉しさを感じるものです。
 この「お陰様で」とは、どんな意味をもっているのでしょうか。お陰様の「お」と「様」は「陰」につけた敬語です。では、お陰様の「陰」とは、何を言っているのでしょうか。
私達が生きていくためには、自分自身の懸命な努力も必要ですが、それと同時に身近な家族や近隣者だけでなく、会うこともない多くの方々のお世話になり、生かされていることを感じることと思います。
 また毎日を元気に過ごせるのは、自分自身が健康や安全に気をつけ、日々努力している事も大きな要因です。しかし、不慮の交通事故や怪我などは、自分の努力だけでは防ぎきれない所があります。しかし永い人生の中では、九死に一生を得る思いをして、「あの時、この様でなかったら大怪我をしていた。」と、先祖の霊のご加護に感謝し、思わず仏壇に合掌したことがあることと思います。
 このお陰様の「陰」とは、こうしたお会いする事もない方や、目では見ることが出来ない先祖の霊でもあります。こうした知らず知らずの内にお世話になった方々や、先祖のご加護に対する感謝の気持ちから自然に生まれた表現が、「お陰様で」という言葉です。
8 月は、旧盆の時期であり、多くの人が先祖への感謝の気持ちを込めて墓参りに出かけます。どうか墓前でこの「お陰様で」の言葉を思い出し、先祖のご加護に感謝し、お供えをし、お詣りしていただければ、天国のご先祖様へのご供養になることと思います。

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