曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

和 [No,1570、8月30日〜9月5日]

愛知県名古屋市東区 梅屋寺副住職 矢神浩祐 師

今年は四年に一度のサッカーワールドカップが開催され日本は前評判をくつがえす大健闘のベスト16という結果で、日本中を熱狂の渦に巻き込みました。日本代表の活躍は私たちに元気と、そしてたくさんの感動をもたらしてくれたのではないでしょうか。
 なによりも最後の試合でPKを外した選手をいたわり、終了と同時にチームメイトが駆け寄り肩を組みながら一緒になって泣いていたシーンは我々に試合に勝った以上の感動を与えてくれました。
 今回の日本の戦いを評する時によく「一体感」「結束力」という言葉をつかわれていましたが、帰国後の記者会見でPKを外した選手が「仲間からたくさんの励ましの言葉をもらい、胸をはって帰ることができた」「チームメイトのおかげです感謝します」と何度も言っているのを見てほんとうに良いチームだったのだなと思いました。
 仏教では、修行生活を共にする仲間の意で『和合僧』という言葉があります。
私も本山での修行中に多くのすばらしい仲間と出会い、お互い切磋琢磨し励ましあって大変厳しい修行も乗り越えることができました。修行生活では多くを学びましたが、その中のひとつに集団における「和」の大切さがあります。
 仲間を、相手を、人を、思いやれば自然と「和」というものに繋がります。
 現代社会では、個の主張とか、個性を大事にするという傾向があります。もちろん個を主張するのは悪いことではありませんが、あまりにも自分の損得だけを考えた「個の主張」をする人が多くなっているような気がします。われわれ日本人が大切にしている美徳の一つである「和」というものを今一度、意識する必要があるように感じます。
 日本代表に感動した本質的な理由のひとつには、人は人に支えられて生きているという事と、人間が生きていく上で必要な『仲間』そして『和』というものを強烈に認識させてくれたからではないでしょうか。

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