曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

六道 [No,1583、11月29日〜12月5日]

静岡県静岡市 徳願寺住職 岩上覚眞 老師

昨今、近親者や無差別に人を傷つけ殺めると言うニュースがメディアを賑せています。
 古来より日本では「良い事をすると極楽に行く」「悪い事をすると地獄に行く」そう言われております。この考え方は「六道」と言う考えに基づいており、六道とは天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道です。
 六道は私達が生活している心の中にもございます。
 「地獄」は、文字通り苦しみの世界、「餓鬼」は幾ら有っても物足りず、未だ足りないと貪る心、「畜生」は、本能のまま生き自分自身をコントロール出来ない心、「修羅」は、争い怒りに満ちた心、「人間」は苦楽が有り、感謝し反省し自分を顧みる「天道」は喜び、楽しみに満ちた世界。私達はこの六道を絶えず駆け巡り生活しております。
 私が学生の頃友人と遊んで、「天道」登った楽しい気持ちで帰路に着くと、「こんなに遅くまで何してた」と叱られ、「良い気分で帰って着たのに」と途端に地獄に落ち。しかし、「遅くまで遊んでいた事は皆を心配させ悪かった」と反省し人間と成る。
 又、お腹が空いたと冷蔵庫を開け、摘み食いをしていると、妹が告げ口をして「余計な事を言うな」と蹴飛ばして修羅と成り、満腹になると良い気持ちで勉強を忘れ、グウグウと自分自身をコントロール出来ずに修羅と成る。
 この様に一瞬一瞬定まる事無く、地獄から天道までを駆け巡っているのが私達の日常でございます。
 より良い人間として人生を送るにあたり、一日一度でも、感謝し反省の心を持ち、人間は全ての物に生かされている、全ての物を生かしてゆこうという優しい心を起こしてみると、全てのものの生命の尊さがしみじみとわかり、あらためて感謝せずにはおられません。

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