「心を変えると世界が変わる」という言葉があります。私たちの「見方」が変われば、人生が180度変わることもある、という意味であります。心の方向で、世界は、天国にも地獄にもなる。
「心の師となっても、心を師としてはならない」とは仏典にある言葉です。煩悩となっている心を師匠として従い、その心を信じて、心の赴くままにしていると、様々な苦しみが生じる。だから、そうした心には従ってはならないというのです。
釈尊が修行していたときのこと、悪魔がやってきて誘惑し、修行の邪魔をしたことがありました。ここでいう悪魔とは、私たちの心にある煩悩、煩わし悩ますこころのはたらきであると理解してよいでしょう。その代表者は、「むさぼり」「いかり」「おろかさ」です。貪・瞋・癡(とん・じん・ち)の三毒です。あれも欲しい、これも欲しい、もっと欲しいと求めてしまう「むさぼり」、すぐにかっとして腹を立て、恨み、傷つける「いかり」、何が正しいかといった物事の道理がわからない「おろかさ」。 これらは、自分を苦しめ、他人を苦しめる結果を招く心のはたらきです。
では、釈尊はそうした煩悩の悪魔をどのようにやっつけたのでしょうか。経典には次のように表現されています。「釈尊は、これは悪魔の仕業だと知った、すると悪魔は打ち萎れて、その場で消え失せた」。煩悩の悪魔をやっつける最強の武器とは「正体を見破ること」だったのです。心の方向転換をするカギも同様に「正体を見破ること」といえるでしょう。正しい方向を向いているこころ、仏の道に従っている心であるならば、そのときには、心は師となって私たちを導いてくれるはずです。
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