今から二千四百年ほど前のインドで、おしゃかさまの弟子になったチュンダが、食事を作っておしゃかさまに供養しました。所が、その食事がいたんでいたようで、おしゃかさまは体の調子をひどく悪くしてしまいました。もう年をとって、足を引きずりながら説法してまわっている状態でしたので、命も危ないと見られました。
チュンダは、大変なことになったと泣いていました。おしゃかさまは、その時、こう語りかけたそうです。「嘆くことはない。私は生まれたから死ぬのである。私が死ぬ元々の原因は、私が生まれた事による。お前の食事をたとえ食べなくとも、他のきっかけで私は死ぬのである。嘆くな。お前は私に死のきっかけを与えたに過ぎない。お前は大きな功徳を積んだのだ。」
チュンダは、その言葉をなかなか受け入れることが出来ませんでした。しかし、食事の施しは、一生懸命に心を込めた事だったので、次第に心が安らかになりました。
世の中には、人の知恵やカを越えた事が起こります。「因果の法」という言葉が仏教で説かれていて、原因に応じた結果が必ず現れると言われています。しかし「因」も「縁」も、実にたくさんこの世にあります。それらが複雑に絡み合って、結果が現れています。そこでは私たち人間に、計算の及ばない現象が起こるのです。
くよくよと迷い、考えてばかりでは、この二月の寒さの中で、身も心も縮んでしまいます。ここで、ぐっと息を吸い込んで、もう一歩、歩みを進めてみましょう。あなたを見守ってくれている存在が、そこにあるのです。
なお二月十五日は、おしゃかさまがなくなられた日でございます。
南無釈迦牟尼仏
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