共命の鳥という童話があります。
共命の鳥とは、共に生きる命を持った鳥。共と命と書いて「ぐみょう」と読みます。
共命の鳥は、一つの胴体に、二つの頭を持っており、とても美しい声で鳴くのだそうです。
一羽の共命の鳥がいました。この共命の鳥は、仲間の中でも一番に美しい声で鳴くことができます。この鳥は、そのことをすごく自慢に思っていました。
ある日、一方の頭が「自分は、みんなから一番美しい声で鳴くと褒められる。でも、もう一方の頭も、同じように一番だと褒められている。もう一方の頭がいなくなれば、自分が本当の一番になれるのに…」と考えました。
そして、ついに一方の頭が、もう一方の頭に毒の実を食べさせてしまいました。
二つある頭の一つが死に、これで残った方の頭が本当の一番になります。残った頭は、嬉しくて嬉しくて、誇らしげに美しい声で鳴いたのです。
しかし、どうしたことでしょう。残った方の頭も、苦しくてたまりません。この頭は、自分が一番になりたいと強く思ってしまったがゆえに、二つの頭が、一つの胴体で繋がっていることを忘れていたのです。そして、この共命の鳥は、自分をも殺してしまったのです。
この頭は、「何故、こんなことをしてしまったのだろう。二つの頭は、かけがえのない一番の仲間だったのに」と後悔し、もう一方の頭を見て、泣きながら死んでいったのです。
この共命の鳥は、後に極楽へ生まれ変わり、自分の罪を償うかのように、二つの頭で仲良く歌っているそうです。「争いをしてはいけないよ」と。
私たちは、世界中の人々が一生懸命に働いてくれているおかげで、また、動物や植物の命と引き換えにして、幸せな生活を送っています。共命の鳥が、一つの胴体で繋がっているように、私たちも、目には見えない多くの命と繋がりながら生きているのです。
ですから、私たちも、自分の一方的な考えだけで、相手を傷つけてしまってはいけないのです。そんなことをしていたら、そのうち共命の鳥のように、自分自身をも滅ぼしてしまうのではないでしょうか。
私たちは、顔や体、性格も違います。年齢も性別も生まれた国だって違います。
でも、すべての命は、幸せに生きる権利を持って生まれてきたのです。
すべての命を大切にする心、相手を思いやる気持ちを忘れないでください。
どうぞ、この生まれ変わった共命の鳥の美しい声に、耳を傾けてみてください。
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