春の彼岸を迎えます。
彼岸は先祖さまへの感謝と共に、ご先祖さまより脈々と受け継がれた、私達の命をいかによりよく耕すかを考える大切なときでもあります。
先日本屋さんで、一冊の詩集を手に取りました。
それは明治44年生まれの満九十九歳になる柴田トヨさんの「くじけないで」という詩集です。
その中に、九十六歳の時に書かれた「あなたにT」という詩がありました。
「出来ないからって いじけてはダメ。私だって 九十六年間
出来なかったことは山ほどある父母への孝行 子供の教育 数々の習い事
でも 努力はしたのよ 精いっぱい ねぇ それが大事じゃないかしら
さあ 立ち上がって何かをつかむのよ 悔いを残さないために」
いじけないこと、努力をしていく大切さ、人生を生き抜いてきた大ベテランの言葉には、説得力があります。
この詩は、悔いを残さないために、という言葉で閉められていますが私の人生を振り返ってみると
「あの時、このようにしていれば良かったという後悔」
「あの時何故、このようにしなかったのかという後悔」
この二つの後悔からは決して逃れられないように思います。
悔いを残さないという事を、私はこのように考えました。
逃れられない後悔を一つでも減らすように生きること
お釈迦さまは、示されています。
「過去を追うな 未来を願うな 過去は過ぎ去ったものであり
未来はいまだ至っていない 現在の状況をそれぞれに観察し
明らかに見よ 今なすべきことを努力してなせ」
しかし人間とは弱い物です。
わが身に引き当てて考えてみても、努力し続けることは辛く厳しいものです。
だから何が何でも我慢し「愚痴一つこぼさないで」いうことではありません。
辛ければ愚痴を言うしかなく、悲しければ涙を流してしまいます。
苦しければ悲鳴をあげてしまうでしょう。
しかし、愚痴の言い放し、涙の流しっ放し、悲鳴をあげっ放しでとどまっていては困るということです。
人生の後悔を一つでも減らすこと、それは、人と比べることなく自分の速度で、いじけないで諦めないで「今私が出来ること、やらなければならないこと」
コツコツと努力を重ねて、丁寧に前進すること。
このことに他ならないと思うのです。
一人一人の命が輝くように、確実な一歩を踏み出してまいりましょう。
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