曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

東日本巨大地震におもう [No,1605、5月2日〜5月8日]

静岡県伊豆の国市 長源寺住職 高木伸明 老師

3月11日の東日本巨大地震で、津波によって東北地方太平洋沿岸の市町村が壊滅的な被害を受けました。そのテレビ映像を視るたびに、心が大変痛みます。
 もし自分がその当事者であったならばと考えると、被災された方々の心中察するものがあります。家を失い、また家族までも失い、どうして良いのか全く解らない、絶望の淵に陥った茫然自失の心理状態だと思います。今すぐには行動を起こせないでしょう。
 しかし、被災者の方々は、縁あってこの世に生まれ、今回の大惨事を生き延びたのです。今はお釈迦様の「忍辱」(にんにく)というお教えを思い起こして下さい。本来は、他から恥をかかされても怒らずにじっと我慢すること(「新明解国語辞典」)ですが、今は恥を災害に置き換えてみましょう。堪え難きを堪え、忍び難きを忍びましょう。人間は耐える、こらえることにより、必ず一廻りも二廻りも人間性が成長するはずです。そして、後には「諸行無常」この世にあるものは万物(物質的なもの・精神的なもの全て)一切の現象は皆無常であり、滅するものもあれば新たに生まれるものもあると理解し、全てをあるがままに受け入れ、これから先は犠牲にあわれた方の為にも、力強く生きていってもらいたいと思います。あなたが苦しい時、他のみんなも苦しいのです。頑張って下さい。
 また被害に遭わなかった人達は、被災者と同じ立場でものを考え、できることは協力していきましょう。計画停電も一部地域で始まります。不便にはなりますが、被災者のことを思えば愚痴や文句など言えないはずです。今こそ「四摂法」(布施・愛語・利行・同事)を実践していきましょう。
 私達は独りではなく、みんなに生かされ、またみんなを生かしているのですから。

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