曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

家庭の中から [No,1607、5月16日〜5月22日]

静岡県賀茂郡松崎町 禅宗院住職 土屋興祥 老師

まだ、春も早い頃のおはなしです。私の近くに住んでいる方が、寺参りに訪れました。
 若いお母さんと5、6歳位の子供でしょうか。
 本堂の、ご本尊様に手を合わせ拝んでいるお母さんの姿を見て、その子は、なんの願いごとをしているのかと、しきりに訊いているようす。しばらくしてお母さんは、その手を下ろして子供にこう言いました。「みんながね、平和に生きていけるように仏様にお願いしたのよ」その子は平和という意味がよくわからないのか「平和ってなに」とすかさず訊き返しました。するとお母さんはちょっと間を置いてから、こう言いました。「みんなと仲良くお勉強できるように。だから○○ちゃんと、ケンカしないで仲良くしてね」と言うようなことをはなし、言い聞かせていました。
 いつもは、ご本尊さまになにげなく手を合わせる人、ご先祖様にお参りをする人をよく目にいたしますが、この時のことは、私自身はっとさせられました。
 なぜかと申しますと、このおはなしは、仏さまの慈悲、仏さまの慈愛の心と同じではないかと思ったからです。
 仏さまの心というものが、この若いお母さんの心の中に生きている。
 そして、その心が、小さな子供に受け継がれている。
 これって、本当にすばらしいことなんだと気づかされたのです。
 また、今の時代だからこそ、この大切な心を失なわないようにしたいものですね。
 家庭の中からもできることがある。そう思うと、なんだか、とてもうれしい気持ちになりました。

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