まだ、春も早い頃のおはなしです。私の近くに住んでいる方が、寺参りに訪れました。
若いお母さんと5、6歳位の子供でしょうか。
本堂の、ご本尊様に手を合わせ拝んでいるお母さんの姿を見て、その子は、なんの願いごとをしているのかと、しきりに訊いているようす。しばらくしてお母さんは、その手を下ろして子供にこう言いました。「みんながね、平和に生きていけるように仏様にお願いしたのよ」その子は平和という意味がよくわからないのか「平和ってなに」とすかさず訊き返しました。するとお母さんはちょっと間を置いてから、こう言いました。「みんなと仲良くお勉強できるように。だから○○ちゃんと、ケンカしないで仲良くしてね」と言うようなことをはなし、言い聞かせていました。
いつもは、ご本尊さまになにげなく手を合わせる人、ご先祖様にお参りをする人をよく目にいたしますが、この時のことは、私自身はっとさせられました。
なぜかと申しますと、このおはなしは、仏さまの慈悲、仏さまの慈愛の心と同じではないかと思ったからです。
仏さまの心というものが、この若いお母さんの心の中に生きている。
そして、その心が、小さな子供に受け継がれている。
これって、本当にすばらしいことなんだと気づかされたのです。
また、今の時代だからこそ、この大切な心を失なわないようにしたいものですね。
家庭の中からもできることがある。そう思うと、なんだか、とてもうれしい気持ちになりました。
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