まず、三月十一日に発生しました東北地方太平洋沖地震におきまして、被災されました皆さま、その御家族の方々に心よりお見舞い申し上げますと共に、犠牲になられた方々とご遺族の皆様に対し、深くお悔やみを申し上げます。
長期にわたる復興支援が続けられる中で、改めて人の命の尊さ、そして人のつながりや絆の大切さを実感させられる出来事となりました。人の輪は決して一人では作ることはできません。自分以外の誰かとつながる事で人の輪は成立します。その最も身近な輪が家族であります。他人を大切にする心は、家族を大切にする事から始まると言えるでしょう。
ある御家庭で、お婆様が亡くなられました。長年、介護でお世話をされたお嫁さんは、深い悲しみを持ちながらも精一杯お世話を続けた事で、「何の後悔もありません。義母には大変感謝しています。」と話されました。人が人生を過ごす過程において、最終にして最大の役割は、その命の尊さを、自分の死を持って後世に伝えていく事です。年を重ねる中で、精一杯その天寿を全うされたお婆様。その命に対して、精一杯のお世話でこたえたお嫁さん。お互いが、命の尊さを、伝え、伝えられたのだと思います。その姿に、御家族の絆も深まったことでしょう。そしてこれからは、お仏壇に手を合わせる機会も増えるでしょう。御先祖様に対する報恩に感謝し、生かされている自分の命を再確認する事で、互いの存在を大切にする、そんな家族を築かれると思います。
昨今の社会に於いて、少子高齢化が進み、核家族化といった社会問題が叫ばれ、家族というつながりが希薄になったように思います。
毎日短い時間で結構です。家族が揃い、お線香一本をお仏壇に供えて、手を合わせてみてください。仏事を通して家族の輪がつながるはずです。
そして、家族の輪は、地域へ、国へ、そして全世界へと広がり、より温かい人の輪が無限に広がる事でしょう。
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