曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

相手の気持ちを考える [No,1610、6月6日〜6月12日]

岐阜県本巣市 増徳寺住職 長宗一陽 老師

花祭りの行事で老人ホームへ出かけて行きました、足の不自由なお年寄りは車椅子を利用している人もたくさんおられました。
 私は、お参りをして頂く為に、職員と共に車椅子を押す手伝いをしていました、その時、車椅子の老人はさっと私の手をはらうと、「自分の力で行きたいという意思を表示され」、花御堂まで力を振り絞って進んで行く姿を見たとき、自分の力でお参りしたかったのでしょう、声を掛け伺い聞く事も大切な事だと思いました。
 ある日同じような出来事がありました、重いカバンを持ってゆっくり歩く老師の姿を見て、カバンを持ちましょうかと声を掛けましたら、「いくら重くとも体を使わなきゃな、年をとれば体が辛いのはあたりまえ、それより体は鍛えなきゃいけないんだ」とゆっくり歩き、笑いながら明るい声をだして話をされました。
 そこには、今の自分を受け止め明るく生きていこう、元気でありたいと願う心があります。手を貸す場合も自分の気持ちと相手の気持ちが同じとは限りません。相手の気持ちに添えるお手伝いが出来ると良いのです。
 修証義の中に「同事」が示されています、その意味はすべての人と互いに仲良くしていさかいせぬことであります。
 その為には自分の立場を言い張らず、他人の立場をよく理解する事が非常に大切な事ではないでしょうか。

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