曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

見方を変えれば [No,1613、6月27日〜7月3日]

三重県伊勢市 高傳寺住職 横山元之 老師

みなさんこんにちは
 先日私が出席した会議の事です。会計の方の体調がすぐれず辞任をする事になり次の方を決めることになりました。
 適任者が決まりかけた時の事です。ある人があの人は仕事が遅いから困ると言い出しました。すると別の人がいやいや仕事が丁寧で良い仕事をするよといいます。この「仕事が遅い」と「仕事が丁寧」はおなじことの裏表だと思います。
 たとえば、雨が降ったときどう思いますか。外での仕事や旅行をしているときなど今日は天気が悪いと言ったりします。 しかし日照りがつづき農作物が枯れかかっているときは、雨を天の恵みといって喜びます。自分の都合や立場、見る方向で「良い、悪い」を決めているのです。
 禅のことばに「一水四見・いっすいしけん」という言葉があります。(一つの水、四つの見方)と書きます。同じ水でも立場によって四つの見方があるという意味です。私たちは水を飲み物と見ますが、天人は瑠璃の鏡に見え、魚は住む所と見るなど見る立場が違えば同じものを見ていても違ってくるということです。
 厳しい言葉で注意をしてくる人もあなたが憎くて言っているのではなく本当は良くなってもらいたいと切に願っての愛のこもった言葉かもしれません。
 偏った知識や思い込みにとらわれず見方を変えればまわりの世界も今日の天気もちょっと苦手なあの人も今までとは変わって見えることでしょう。

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