本年は、大本山総持寺が明治四十一年に石川県輪島市より横浜市鶴見区へ移転されて百年の節目を記念し、御移転百周年記念法要が行われております。私もその記念法要に本山へ拝宿し、檀家の皆様とともに法要を勤めて参りました。
夜の薬石の後には、拝宿する方のみが参加できる「伝光法会」にお法要があることを伺い、参加してきた時のことをお話したいと思いましたが、やはり詳しいことは実際にその法要へ参加していただかないとわからない為に、私の感じた点のみお話し致します。
法要が始まり、式中盤を過ぎると前机に置かれてある灯火を受け取り、薄暗い堂内に自分が受けた灯火の明かりがまわりを照らします。その明かりに自分が照らされ、周りの人々が照らされます。そして、その灯火を再び前机へ返します。
この法要の意味は、命を灯火にたとえ、命を両親や先祖からいただき、自分の生きる道を照らし、その灯火を次の世代へ受け渡すという、まさに「伝光」の法要でした。
現在社会において、私たちは両親や御先祖様からいただいた灯火を感じることがあるでしょうか。日常の多忙に埋もれ、自己に授かった灯火を忘れていないでしょうか。核家族化や無縁社会と言われる現代であるからこそ、自己に授かった灯火に気づくべきであります。
その為にはまず、教の自己がある事に感謝の気持ちを持ち、心を整え、自己を見つめます。曹洞宗である坐禅がこの行ですが、一日に二,三分程度でも心を整え、感謝の気持ちを保つことが大切です。
現代社会を生きる方においても、日々多忙な方、身体に不安のある方、被災された方など、置かれた立場は人によりそれぞれではありますが、自己に授かった灯火に気づき、心を整え、心豊かに生活する面では皆そのことが必要なことであります。
まずは、感謝、感謝、感謝の気持ちで生かされていきましょう。
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