曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
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「五観の偈」 その一 [1626 H23年9月26日〜10月2日]

愛知県名古屋市 東昌寺住職 芳賀成明 老師

こんにちは。突然ですが皆さん「おにぎり」はお好きですか?
 私時々食べますが、ホカホカご飯のおにぎりは美味しいですよね。
 そこに好きな具が入ってパリッとした海苔が巻かれていたらもう、言うことありません。 それに、手に持って食べることで、食べ物とのつながりも、よりはっきりと見えてきます。
 昔からお米がご飯として私たちの口に入るまで、米という文字の形から八十八の手間と苦労が掛っていると教えられてきました。それだけ多くの縁と恩恵があって食べ物が頂けるわけです。
 そしてもう一つは忘れていけないのが、肉や野菜はもちろん、料理で使う水や塩に至るまで、大自然から生まれたものには全て命があるということです。
 その命を頂くということで、私という命が支えられているのは、忘れてはならない事実です。
曹洞宗の食事作法に「五観の偈」という、五つの唱えごとがあります。
その第一が、「一つには功の多少を計り、彼の来処を量る」というものです。「功の多少を計る」とは、私を支える数多くの縁と恩恵を知ること。「彼の来処を量る」とは、私を支える糧は、他の生命に由来している事実に心を向けること。
食事は、私を支える縁に気づき、生命を戴くことに思いを巡らせることから始まります。食べ方は生き方につながります。そのことを覚るのが真の智慧です。
五観の偈は更に「二つには、三つには」と深くそこを見つめていきます。
次の機会は、二つ目を学んでみましょうか。
ところで、おにぎりを「おむすび」とも呼びますよね?これも生命と生命が縁で結ばれ支えられていることを忘れないために、昔の人が呼び始めたのかもしれませんね。
 

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