曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

観音力 [1631 H23年10月31日〜11月6日]

三重県熊野市 光福寺住職 安藤泰規 老師

皆様方は、日常の生活の中で多くの苦難に直面されたことはおありのことと思います。東日本大震災も甚大な苦難の一つだといえましょう。観音経のお経の中に、火難、水難、風難、その他各種の災難を避けるには観音力を念じ、一心に観音様の名を呼ぶことが説かれているのであります。更に地獄、餓鬼、畜生の三つの悪道の世界に生まれ合わせたり、生きていく苦労、老年の苦労、病気の苦難、最後は一人で死んでいく苦しみの四苦、更に愛しい人と別れる苦、怨みの人と会わなければならない苦、欲しい物が得られない苦、これらすべての災難、苦労をいとも簡単に南無観世音菩薩と称えると、観音力を念じることによってすべての災難から逃れると示されています。観音経のお経の中に、「聞名及見身、心念不空過、能滅諸有苦」の一節がございます。名を聞き及び身を見、心に念じて空しく過ごさざれば、能く諸々の苦有るを滅すと説かれています。また、観世音菩薩は三十三身に身を変じて助けてくださることを説いておられるのであります。
 心に念じて空しく過ごさない為には、いつも観音様のことを考えてなければなりません。それでも人生には四苦八苦の数えきれない災難が訪れます。だからこそいつも観音様を思い、いつも手を合わせて南無観世音菩薩と称えていると、いつか観音様は他人ではなくなっていきます。手を合わせ南無観世音菩薩と真摯な気持ちで称えていただきたく思います。きっとこれまでの自分と違った自分になっていることに気づくと思います。

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