『世の中は喰うて、稼いで寝て起きて、さてその後は死ぬるばかりぞ』
これは一休さんの言葉であります。
一休さんとは室町時代に実在した臨済宗の僧侶で皆さんには『このはし渡るべからず』など良くトンチ和尚として知られていると思います。ですが、先ほどの言葉は人間の一生のはかなさを表したものといえます。
人間の一生がこのようなものだと考えるならば、あまりにも悲しいと言わなければなりませんし、よくよく考えると、これ以上のものは何も無いと思います。だから、ありのままを認めて生きていかなければなりません。
皆様は何のために生きているのでしょうか?
最近では、子孫を残し家門を繁栄するためだと考えている方はごく僅かだと思います。
また、両親へ仕送りをするためにがんばって働いたり、休日にみんなでバーベキューをする為だったり、子供の学費を稼ぐためかもしれません。親のため、自分のため、子供のために生きているのかもしれません。
一番いけない事は何も考えずに『世の中は喰うて、稼いで寝て起きて、さてその後は死ぬるばかりぞ』という言葉そのままの、自分の為にも、他人の為にもならい日々を送ることだと思います。
何もせずに死の間際になってから、ああすれば良かったこうすれば良かったと後悔してももう遅いのです。
《人身得ること難し、仏法値うこと希なり》。
この地球上だけでも3000万種もの生命があるといわれ、また、数千もの宗教がある中で、人とし、人間として、この世に生まれ落ちることは希であり、ましてやその中で仏法に出会うことはこの上なく希で尊いことといえるでしょう。
今回の東日本大震災で悲しくも多くの方々が亡くなられました。その方たちの多くは後悔ですら出来なかったのかもしれません。また、何がなんだかも解らなかったかとも思います。
私たちはまだこれからがあります。
これからは今この時この一瞬、一瞬を掛け替えのない尊い命のためにも、例えどんなことでも一生懸命に取り組み後悔のない人生になるよう日々努力をして行きましょう。
それが一休さんの真意だと私は信じております。
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