「修証義」というお経の中に、仏教との実践行として4つの智慧が説かれております。そのうちの一つが「愛語」で、相手を思いやる優しい心のこもった言葉です。
数年前まで、私は学校に勤務しておりました。そこでは必然的に大勢の子ども達と接し、言葉を交わすことになります。子どもは一人一人違う環境の中で育ち、様々な悩みを抱えています。また、子ども同士のトラブルも毎日のようにあります。教師として、子どもを誉め、励ます事もありますが、時には叱ったり厳しい言葉を発したりすることも多々あるわけです。つい感情的になってしまし、子どもの心を傷つけたり、反発されたりした事もありました。「愛語」というには程遠い現実だったと思います。
生徒指導のベテランのY先生は「先ずは、子どもを好きになること、そして、話をよく聞くことが基本だよ」と言います。子どもを知り、利回することで、より的確な助言・支援が出来るということです。
子どもの話をじっくり聞き、その子の置かれている立場を理解することが出来れば、自然に相手を思いやる言葉が出てくるのではないでしょうか。それが「愛語」につながるのだと思います。
このことは、家庭における親子の関係でも、全く同じだと思います。「子どもが、なかなか親の言うことを聞かない」という声をしばしば耳にします。親が子どもと真剣に向き合い、子どもの話をよく聞いてあげることが、一番大切なことだと思います。つきつめると「愛語」とは、相手を愛するが故に出てくる言葉なのだと思います。
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