年が明けると、例年、当寺院では、一統という集団の法要が始まります。一統とは、同じ地域、同じ苗字の集まりであり、先祖を同じくする集団のことをいいます。
当寺院の近くには、長良川が流れています。昔から川の畔(ほとり)に住む人々は、川の氾濫(はんらん)などの自然災害に幾たびもみまわれました。
江戸時代にはそのことが、集落のなかでの助け合いの精神を芽ばえさせ、集団の結束を強めていったのでした。そして、いくつかの同じ苗字の一族の集まりが、先祖供養を通して、今日までも続いています
この集まりは、一時無くなりかけました。
平和な暮らしの中、集まることへの意味が段々と薄れていったのです。ところが、そんな中、伊勢湾台風が起こり、また人々の間に助け合いの精神が、復活したのでした。
しかし、また、日々の暮らしの中、集まることが、惰性のようになり始め、参加者の高齢化、次の世代の不参加といった問題が、ではじめました。そんな中、昨年の東日本大震災が、人々の意識を変えたのです。
今年二〇一二年は、次の世代の人々が、一統法要に参加しだしたのです。口々にこういった集まりがあることが、とても嬉しい。と
いう声があがりだしたのです。
人と人のつながり、高齢者の智慧、経験といったものを聴く機会が必要とされる時代となったのだと思います。
天災という私たちには、どうすることもできないという事を通じ、人は、助け合い、繋がってきたのです。
この先も先祖への感謝の気持ちを持ちつつ、人との絆を深めていきたいと願います。
合掌
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