年間33334人。これはいったい何の数でしょう。平成22年に日本で自ら命を絶った方々の数です。また、その行為そのものに至らなくても10倍もの人がそのことを頭の中で考えているとのことでした。先進国の中でも、アメリカの2倍、イギリスやイタリアの3倍の多さです。なぜこのような社会になってしまったのでしょうか。
今、日本の社会の現実を見てみますと、長年続く経済の停滞、核家族化、あるいは都市化などにより、家族や社会、地域社会において人との関係が全てにおいて希薄になってきているのではないでしょうか。人権や個人情報の問題などが複雑に絡み合っているとはいえ、あまりにも個人主義に走り、周りを気にせず、日本の社会全体が無縁社会となってはいないでしょうか。
その結果、相談相手もなく、たった一人で考え込んでしまう。孤独、孤立、無縁を強く感じ、最悪の結果が追いつめられた末の死であります。そう考えると避けることのできる死であり、またそれは個人の問題ではなく取り巻く環境、社会問題であるとも考えられます。
私達にできること・・・それはちょっとした目配り、気配り、心配りなのかも知れません。家族はもちろんのこと、隣の人のことを気遣い、地域の人のことを少しでも考え行動する。これが家族愛であり、隣人愛であり、地域愛であります。「人は一人では生きていけない。多くの人や物に支えられ、生かされることによって生きている」。これは東日本大震災という未曽有の災害、苦難、困難を前に、誰もが再認識したことであります。
こうした支えやおかげを仏教では「縁」といいますが、この「縁」を忘れずに、そして、大切に共に一緒に目を配り、気を配り、心を配りたいものです。
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