曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

「調息」 [1660 H24年5月21日〜5月27日]

愛知県名古屋市中区 安用寺副住職 押田清秀 師

 現代人はまるで何かに追い立てられているかのようにせわしなく仕事を行い、日常生活を送っているように思います。それはあまり気分の良いものではありません。みなさんもそのような経験があるのではないでしょうか。
 私は現在、中学校や高校で講師をする機会を頂戴しておりますが、大人だけでなく子供たちを見ていても同じような気がいたしました。これは一体何が原因なのだろうかと思っていたのですが、生徒たちに坐禅指導をすることで一つ分かったことがあります。それは皆、呼吸が浅いということです。教室でただイスに座っているだけなのに既に息苦しかったり、息が詰まったり、息があがっているような状態であると見受けられました。
 道元禅師は「欠気一息」という言葉でゆっくりと呼吸することを勧めておられます。欠気というのはあくび、つまり深呼吸のことで、一度大きく深呼吸しなさいということです。そこで子どもたちに深い呼吸をすることや丹田を意識する腹式呼吸などの呼吸法を教えてみました。
おそらく普段何気なく息をしていて、自分の呼吸になどまったく頓着していなかったはずですから、はじめのうちは戸惑いもあったでしょう。ですがこれを地道に続けていくことで生徒たちに知らず識らず落ち着きが出てくるようになり、合わせて集中力もアップするようになってきました。
 よく考えてみると私たちは空気がないと生きていくことができません。生きている限り毎日呼吸をしています。しかし息をすることが当たり前でありすぎてその大切さを忘れてしまっていたのだといえます。
 例えば日々の生活の中でふとした瞬間にホッと一息ついてみるなど自分の呼吸に気をつけてみてはいかがでしょうか。深呼吸をすることで新鮮な空気を取り入れ、身心ともにスッキリすると思います。

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