曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

奇跡の私にありがとう [1671 H24年8月6日〜8月12日]

静岡県藤枝市 清林寺副住職 武藤啓央 師

先日、何気なくインターネットのあるホームページを検索していましたら、某有名大学名誉教授という方が人間一人がこの世に生まれる確率について次のような引用をされていました。
「一億円の宝くじが百万回連続で当たる確率で人間の細胞一個が生まれます。人間一人当たりの細胞が約六十兆個ですので、人間一人が生まれる確率は一億円の宝くじが百万回連続で当たる確率×六十兆ということになります。」
このように某名誉教授は言われますが、はたして全くピンときません。想像すらできません。実は自分も何回か淡い期待を胸に宝くじを買ったことがありますが、恐らく結果は皆さんと同じだったと思います。とにかくここで私が言いたいのはこの引用をみるだけでも、自分というちっぽけな人間が途方もなく桁違いな、そして想像を絶する確率で、この世に人としての生を受けたということです。ですから皆さん、もはやハズレくじの前で肩を落とす必要などありません。貴方が今呼吸をしているということは、実は宝くじ一億円があたる、なんてことよりもずっとずっとありがたくそして偉大なことなのです。
生誕間もないお釈迦さまが発せられた「天上天下唯我独尊」という言葉がありますが、これは天にも地にも私という存在は唯一つしかない。であるから尊いのだ、自他共に敬い大切にしなさいということですが、さらにこの言葉の中にはもう一歩踏み込んだ尊い意味があると思います。それは宇宙万物の中に人として生かされている大きな目的、人として存在しているからこそ与えられた唯ひとつの使命、それは何かというと「感謝のつとめ」言い換えれば「ありがとうのつとめ」でしょう。
この広い宇宙の中で、そして地球上で、命あるもの全てが、それぞれにその寿命と存在意義をあたえられ、ひたすらその使命を果たすために生きているのです。四苦八苦の苦しみのこの世の中ですが、せっかく人として生を受けたのであれば、常に「ありがとう」の気持ちでお互い支え合いながら精一杯、生きて行きましょう。

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