曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

利行〜思いやりの心と行い〜 [1691 H24年12月24日〜12月31日]

岐阜県関市 円通寺住職 岡田英賢 老師

私たちは、「水や空気は大切ですか」と聞かれれば、「大切です」と答えます。
しかし、水や空気のように、日頃当たり前にあると感じているものの大切さを実感するということは、実は非常に難しいことです。
私たちの命についても同じことが言えると思います。

命の時間
日本人の平均寿命が、男性で79歳、女性で86歳です。その年齢から、あなたの年齢を引いて、365日をかけた日数が、あなたの命の時間です。25歳の男性で約2万日、40歳男性で、約1万4千日です。この一瞬一瞬もただ時間が過ぎているのではないのです。いくらお金があっても、命の時間を買うことはできません。
そう考えますと、どのようにこの大切な命の時間を使えばいいのか、と考えさせられます。

曹洞宗を開かれました、道元禅師様は、
「利行は一法なり、あまねく自他を利するなり」
とお示しになりました。
「利行」と申しますのは、「見返りを求めない、無条件に相手のためになす行い」の事でございます。すべての人に、思いやりの心で向き合っていくことです。

すべての人が、等しく大切なこの命を、この時間を幸せに生きるためには、お互いに思いやりの心で支えあっていく「利行」の心と実践が大切になってきます。
 現代社会は、無縁社会、いじめの問題といったように、殺伐とした人間関係が、人と人とのつながりの希薄さが大きな社会問題となっております。
 私たちは「こんな社会にだれが」と他に目を向けがちですが、こんな今だからこそ、最も身近な自分自身に目を向けなければいけないと思うのです。

 今の社会は私たち人間が創ったものです。それならば、これもまた、私たち人間によって、改善できると思うのです。
 大切な命の時間の一日一日を皆が幸せに暮らせるように、「利行」という思いやりの心と行いで、お互いに支えあっていきたいものであります。

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