曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

安心ってなに [1696 H25年1月28日〜2月3日]

静岡県賀茂郡松崎町 禅宗院住職 土屋興祥 老師

皆さまこんにちは。最近、気になった事を少しだけお話してみたいと思います。それはある日のこと、「あの、お尚さん、もしここで地震がおきたら、私たちはどうしたらいいのですか。ここは20メートルの津波がやってきて、それも5分で来るっていうのですよ。逃げるにしたって、たった5分の間でどこまで非難出来るかわからないし、なんだかとっても不安で・・・」と、せわしなそうにいうのです。
 
 私の町では、海が近くにあり、わずか海抜10メートルくらいの高さに、ほとんどの家が立ち並んでいるような所です。寺の境内にしても海抜15メートルの高さしかありません。もし、そのような大きな津波が来たとすれば、確かにその方の言う通りかもしれません。
 
 しかし、よく考えてみると、この話は、どこか不安というものが先に立って感じられます。また、実際には地震の大きさや、発生した場所によって違いがあり、地震が起きたからといって、必ず津波が襲ってくる、ということではありません。

 最近では、今まで解明できていなかった事が、科学の発展によりわかるようになってきました。しかし、いざわかってしまうと、また新たな不安を生み、かえってわからなかった方が良かったかもしれない。そんな経験をした事はありませんか。

 そのことは、例えば命についても同じこと。

 私たちの命は、明日にはどうなるかわからない。いいえ、わからないからこそ、安心感や余裕が生まれてくるのではないか。そして、その気持ちが、時に幸せを感じたり、喜びを分かち合うことができる。そうした心の豊かさをもって、人生を過ごしていけることが、一番大事なことであり、また、そうありたいと願うのです。

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