お寺のおめでたい行事にかわいらしい華を添えてくれるのが、「お稚児さん」と呼ばれる子供たちの行列です。おじいちゃん、おばあちゃん、お父さんお母さん、家族のアイドルとして、みんなの笑顔に囲まれ、歩く姿はとてもほほえましいものですね。
このお稚児さんは健やかなお子さんの成長を願って行なわれるものですが、もう一つ大切なお役目があります。
お稚児さんとは、仏さまの代理として、仏さまの教えを自ら実行し、みんなに伝えるという、その役目を担った子供のことをいいます。仏さまは、みんなが幸せであるようにと願われました。ですからお稚児さんは、この仏さまの願いを叶えるという大変な役目を担っていることになります。仏さまは、みんなが幸せであるためには、人のいやがることをせず、思いやりの心を持って、誰にでもやさしくしていくことである、とおっしゃられていますが、これを確実に実行することは、大人でも大変なことですね。
優しさや思いやりの心は、子供たちはみんな持っています。しかし大切なことは、持っているだけでなく、みんなに分け与えていくことができるように大きく育てることです。
植物の種は、水や光などの養分が与えられてこそ、芽を出し花開きます。同じように人の心も乾いたままでは、やさしさや思いやりが芽吹くことはありません。心に潤いや栄養を与え、大切に手をかけることによってその心は芽吹き、大きく成長していくのです。
伸び盛りの子供たちの心には、たくさんの栄養が必要です。そして何よりの栄養素となるのは家族です。
家族の笑顔に囲まれるお稚児さんという経験が、子供一人ひとりの心の中にある仏さまの種にたっぷりの栄養を与え、やさしさや思いやりの心が大きく育まれていくきっかけとなれば、お稚児さんに託した仏さまの願いも叶えられたことになるのではないでしょうか。
大切に育てた仏さまの種は、いずれ大きく成長して多くの人々の心を癒し、笑顔にしてくれる美しい花をたくさん咲かせてくれることでしょう。
お稚児さんは家族のアイドルから、みんなのアイドルへ、その成長を助け見守っていきたいものですね。
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