曹洞宗 東海管区 教化センター(禅センター)

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たのしみ法話
たのしみ法話

お互いの心 [1706 H25年4月15日〜4月21日]

愛知県豊川市 金像寺住職 長谷川博保 老師

先日、ある会社を経営されている方とお話をした時にとても興味深いお話を聞かさせて頂きました。
昨今の現代社会においては、お金を出せば様々なサービスが受けられる。こんな事まで!というようなものも沢山あります。今の日本経済には「三方良し」の精神が足りず、自分さえ儲かればいいという市場主義経済、貨幣に支配されてしまっているんだよ人間は・・・とお話されました。「三方良し」というのは商売において「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」という売り手も買い手も満足し、さらに商いを通じて地域社会の発展や福利に貢献しなさいよ、というものだそうです。江戸時代の近江商人達がもっていた思想のようで、とても仏教的な考えだなぁと思いました。
仏教にも「三輪空寂」という教えがあり布施をする際に、布施をする人、布施をする相手、布施をする物の価値、この三つの要素に執着するなという教えです。
たとえばAさんがBさんに貴重な物を与えました。Aさんは「してあげた」と思ったり、又は見返りを求めるようでは善行ではありません。相手に「させてもらった」「力なれたなあ」とAさんが感じ感謝しなければいけない。何かをしてあげた時に見返りを求めては、そこに功徳があるはずはありません。
私達にも身に覚えがある事ではありませんか?「人が人の為に何かをする」のはとてもすばらしい事です。しかし、お互いに思惑があるようであるならばどちらも嫌な思いをしてしまう時もあります。人間の心というのは物や貨幣、そういった事に支配されてはいけません。お互い、する側もされる側も感謝する心、尊重する心を忘れないようにして頂きたいと思います。

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