先日、息子の一周忌を無事に迎える事が出来ました。
息子は産まれる予定日よりも3ヵ月早く産まれ、産まれる予定日の月に旅立ちました。
胎内にいる頃の検診で息子の内臓に異常が見つかり、母子共危険が迫った為、急遽取り上げていただくことになりました。お腹から出てきた息子は、それは小さい1000gにも満たない身体でありました。赤ん坊専用の集中治療室での生活、子育てが始まりました。小さな身体をサポートするたくさんの色々な器具をつけ、大勢の医師看護師の方々に支えられ“生”一杯に息をしておりました。手術を受けたり、大病にかかったりと、こんな小さな身体にあまりにも残酷だとさえ思う現実がたくさんありました。息子の体調が今日は昨日よりよくなっていてほしいと願う希望と、火を追う毎に悪くなっていく息子を見る現実が、心を苦しめました。そんな子育て生活が3ヵ月。息子はとうとう力尽きました。
自分自身が勝手に描いていた普通の出産。あたりまえの子育て。あたりまえの子どもの成長。当たり前のように子の声を聞き、子を抱き、食べ物を与え、風呂に入れ、おむつを交換する。当たり前のように子は声を上げ、物を食べ、消化して排泄をする。このどれもが当たり前に行われている光景だと思いますが、息子はこの当たり前が一つも、簡単に出来ませんでした。そう、当たり前は錯覚で、実はどこにもなかったのであります。
当たり前に見える子の成長は、実は子供の健康という持って生まれた才能なのです。その偉大な才能のお陰で、親は大きな安心をいただき、安心の中で子育てに励む事が出来る。それが当たり前の子の成長(子育て)と感じるものではないでしょうか。親は子に生かされているのです。産まれる予定日まで一生を懸命に堂々と生き抜いた息子は立派でした。芯の太い人生でした。
命は無常であると分かっていながらも息子の死というものは受け入れ難い苦しみであります。時間の流れと共に、この苦しみを思い出しては忘れ、また思い出してはまた忘れ、是を繰り返し、そうやって息子の死を受け入れながら、これからも私の心の芯で息子は息吹き、私は深く生かされていくのであります。
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