釈尊、お釈迦さまの教えの現代的な意義が問われ、また、求められています。釈尊はいまから2500年も昔にさとりを開かれ、人としての苦しみを克服する道を示されました。… その苦しみは現代も変わることはありません。老・病・死の苦しみといいます。本来、苦しみとは「思い通りにならないこと」を意味します。歳を取りたくないけれども歳をとっていく、病気になりたくないけれども病気になる、死にたくないけれどもいつかは死ななくてはならない、老・病・死はその意味でまさしく苦しみなのです。今から2500年前であっても、現代の私たちであっても違いはありません。
さて、それを乗りこえ、そこにとどまることなく、私たちに救いを示してくださった釈尊の教えは、であるからこそ、現代の私たちの心にも生きたアドバイスとして響くはずです。・・・ たとえば、『法句経』という古い経典には次のように説かれています。「実にこの世においては、怨みに対して怨みを以て応じたならば、ついに怨みがやむことはない。怨みをすててこそやむ。これは永遠の真理である」・・・ 「永遠の真理」とは、時代が変わっても場所が変わっても誰もがそうだと認めざるを得ない法則のこと。当たり前のことといえばそうかも知れませんが、この当たり前のことがちゃんとわかり、身をもって体得できたときに、大きな変化が生じるのでしょう。今まで見えていなかったものが見えて、すでにそこにあった、すすむべき道に気づくかもしれません。
しかし、わたしたちはなかなかその道に気づくことができません。そこにあるのですが、気づけない。… 外に外にと向いてさまよう心を、しずかに保ち、いましばらく、内側に向けてみてはどうでしょうか。そして、仏が示してくださった教えに耳を傾け、仏の道を歩みたいものです。その瞬間、教えは生きた教えとしてはたらきだし、私たちを正しく導いてくれるに違いありません。
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